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リサイクル

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PCB

No. 065 update 2004.04.15 PDF版(127.5 kbyte)

環境(第13回)

リサイクル

 今回から「リサイクル」について考えてみたいと思います.ところで,日本では循環型社会や環境負荷の削減を目指して国内外では様々な環境に関連する条約,法律が施行されています.最近,施行されたリサイクル関連の法律等を中心に整理したものを以下に示します.

循環型社会形成推進基本法 2000年6月施行
グリーン購入法      2001年4月施行

容器包装リサイクル法   1997年4月施行
家電リサイクル法     2001年4月施行
食品リサイクル法     2001年5月施行
建設リサイクル法     2002年5月施行
自動車リサイクル法    2004年4月施行

 環境ビジネスとして「リサイクル」が盛んですが,環境対策としては「リサイクル」以外の多くの「R」で始まる選択肢があります.弊社の社名の由来にもなっていますが,リデュース(Reduce);廃棄物発生やエネルギー消費の「削減」,リユース(Reuse);「再利用(再使用)」,リサイクル(Recycle);「再生利用」を「3つのR,すなわちスリー・アール」と呼ぶことがあります.

「リデュース」は,省資源や省エネルギーとして身近な考え方です.節水や節電等の無駄使い削減の他,省エネ設計の電化製品,高燃費の自動車などの新技術の開発の取組みです.廃棄物発生量の削減という観点からは寿命の長い設備や機器の開発があります.

「リユース」と「リサイクル」の違いは,そのままの形状で利用されるか,形を変えて利用されるかの違いと理解することができます.リペアやリターナブルは「リユース」の一部と位置付けることもできます.リユースとしては古本市場が,これまでのイメージとは異なった形の市場を開拓し,大きく成長しています.リサイクルは,ペットボトルや家電製品等で既に身近な存在です.

 また,より本質的な概念として「リフューズ(refuse)」があります.この概念は時に消費の否定を意味し,ユーザー側の一つの行動形態と捉えることができます.例えば,ポリ製の買い物袋を受けとらず,買い物かごを利用する行為です.不必要なものは拒否するという「リデュース」よりもさらに徹底した考え方です.


 この他,リペア(Repair);修理・修繕,リフォーム(Reform);改築,改良;リターナブル(Returnable);通い容器,再使用容器,リフィラブル(Refillable);詰替え容器,再充填容器,リニューワブル(Renewable);再生可能,レメディエーション(Remediation);修復,等の環境関連の用語があります.

「リペア」は,家電製品の修理サービス等としての今後の展開が期待されますが,人的コストの高いわが国では,リペア(修理)費用が新品購入とほとんど異ならないことも多く,本格的な展開には様々な工夫が不可欠な分野です.また「リフォーム」は,建築リフォームや衣服仕立て直しでおなじみです.

「リターナブル」としては,ビール瓶の利用が最も身近な適用例かもしれません.瓶類のみではなく,梱包容器のリターナブル化も始まっています.日本ではまだ馴染みのないものですが,欧州ではリターナブルペットボトルが導入されています.

「リフィラブル」は,シャンプーや台所用洗剤の中身を容器に詰め替えて使う形で日常生活の中にも浸透してきました.また,プリンタ用詰替えインクなども商品化されています.

「リニューワブル」は,「再生可能」エネルギーが最も身近なものです.風力発電,バイオマス発電,太陽熱利用,太陽光発電等の自然循環の中で再生されるもので,石油,石炭,天然ガス等の化石燃料のように1度しか利用できないエネルギーとは本質的に異なります.話題の燃料電池は,現時点ではリニューワブルなエネルギーではなく,環境負荷低減や分散型設置によるエネルギー効率利用を実現できる「リデュース」に有効な技術と位置付けることができます.

「レメディエーション」は,「環境浄化」や「土壌修復」として重要性が増しています.最近,土壌,地下水や飲料水汚染の問題が表面化していますが,これらの「汚染された」環境を何とか元通りに戻すという事後処理の色彩が強いものとなります.不法投棄現場の修復もある意味でレメディエーションの一形態と考えることができます.


 環境関連の法律施行状況を見ても明らかなようにわが国の施策は「リサイクル」が中心となっています.これまでどおり大量の「製品」を製造しながら,使用後に「リサイクル」としての対策を考えることで,新たな静脈産業の創生もできるという産業界としても受入れ易い施策のためと考えられます.

 しかし,このような「リサイクル」偏重の施策には環境対策としての限界もあります.次回以降,個別製品の「リサイクル」に関するデータ等を踏まえながら,現在の「循環型社会」を目指した取組みの現状について考えてみたいと思います.

[文責:スリー・アール 菅井弘]

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